しがリーマンの左遷万歳!

しがないサラリーマンのどこにでもある話

ハゲ

自覚はあったんです、自覚は。

今日、会社の隅っこで電話していた時、窓ガラスに映った自分を見てハッとしました。

ハゲてる!

数年前からシャンプーをした時の抜け毛の量が気になり始め、実際に妻や友人に指摘されたこともあったので認識はしているんです。

そう、自分がハゲてきたことを。

しかし、あくまで頭頂部の話で、前髪は下ろして生え際の後退は目立たないように工夫してるつもりなんです。つまり、前から見たら以前とそんなに変わってない、つもりだったんです。

ところが窓ガラスに映る自分は、広大な海の上に浮かぶ小さな無人島に草が生えているような、そんな状態でした。日が沈んで外は暗く、天井からライトが照らされていたので、光が反射して余計にテカっていたのかも知れませんが、当の本人は相当なショックを受けました。それが自分であることを受け入れるのに数秒かかったほどです。

ハゲの進行に自分の認識が追いついていないことを思い知りました。何か対策を練るか、いっそのこと諦めてしまうか、悩み中です。

カミナリ

久しぶりに大声で怒鳴りました。怒鳴られたのではなく、怒鳴りました。仕事ではありません。我が息子にです。

中学受験を間近に控えているのに、あまりにもダラダラとしているので注意したところ、歯磨き中だった息子が歯ブラシを投げ捨てたので、隣で歯磨きしていた私も思わず歯ブラシを投げ捨て、激しい口調で説経しました。

普段は勉強しろなどと言ったことがなく、学歴信奉者でもないので、正直言うと学費の安い公立に行ってくれた方が助かるのですが、やるからには全力でやって努力する大切さや喜びを知ってほしいとも思います。だからこそ本人の意向を尊重して塾にも通わせているのです。

ただ、最近になって塾をサボったり、ヤル気を失っている様子がありありと分かっていました。母親から口うるさく言われるのも嫌なのでしょう。息子なりにストレスが溜まっているのは間違いないので、私も「頑張れ」とは決して言わず、温かく見守ってきました。

しかし、さすがに昨日は堪忍袋の緒が切れました。試験まであと2ヶ月。今のままでは志望校に受かりそうもありません。不合格になっても責めるつもりはありませんが、十分な努力もしないまま、その後も自分に言い訳をして生きていくような習性がついてしまってはいけないと思ったのです。

泣きながら「真面目に頑張る」と言うのでラストチャンスを与えました。私の言葉がどこまで通じたか分かりません。反抗期に差し掛かっている息子は反発するだけかも知れません。

正直、叱責されて歯ブラシを投げ捨てるような反抗的な態度を私に対して取るのは初めてだったので、私も驚きました。同時に反抗期に入ったこと、そして息子も逞しく成長していることを知りました。

愛する息子の泣く姿を見るのは父親としても胸が痛みます。それでもいつか私の言った意味が分かる時が来るでしょう。「地震、雷、火事、親父」は今や死語ですが、怖い存在であることは必要だと思っています。

相談相手

気分が晴れない。先日、電話で詰められたダメージをまだ引きずっています。眠りも浅いし、変な夢を見るんです。気もそぞろで集中力がなく、気が付くと怒鳴られた相手のことを思い浮かべています。

こうなるのは自分の運命なのでしょうか。元を辿れば身から出た錆かも知れませんが、とうてい納得できるものではありません。

今日、別の取引先の社長からいい話を聞きました。

「困った時に相談できる相手を3人つくれ」

そう言われると思い当たる節があります。これまで人生の分岐点は全て自分で判断してきました。全く相談しなかった訳ではありませんが、それはたまたま近くにいた人とか、行き当たりばったりだったことは否めません。

もし、あの時、信頼のおける、自分のことを本気で考えてくれる人に相談していたら何と言ったでしょうか。今の自分の立場とは全く違う方向に進んでいたかも知れません。そう考えると、社長の言葉がズシリと腹の底に沈みゆくような感覚になりました。

たとえ、どんな人でも、自分より長く生きている先人の言葉には耳を傾けるべきだと思います。それを取り入れるかどうかは自分次第としても、学ぶべきエッセンスは言葉の端々に散りばめられているはずだからです。

幸いにも相談相手として思い浮かぶ方は何人かいます。近いうちに電話してみよう。台風一過の秋晴れの空を見上げながら、そんなことを考えました。

電話嫌い

自分で顔がひきつっているのが分かりました。電話で怒鳴られ、理詰めで追い込まれ、返す言葉が見つかりません。迂闊なことを言うと、足元を救われそうな危険性を察知し、とりあえず同じ主張を繰り返すしかありませんでした。

面と向かって怒鳴られ、ションベンをちびりそうになったことはありますが、電話でウ⚪コをもらしそうになったのは初めてです。

いつもはにこやかで穏やかな表情を崩さない取引先の社長さん。こちらからの提案に激怒し、私の下手くそな説明にさらに腹を立てた様子でした。

元来、口ベタで交渉が苦手な私は、顔の見えない電話が嫌いです。顔を見ながらなら何とかごまかしが利いても、話し言葉オンリーの電話だと口がうまいかどうかだけ。情に訴えることもできず、激しい"口撃"にさらされてしまいました。

確かに先方の言うことは分かります。ただ、私はしがない一サラリーマン。電話で話しながらも朝令暮改部長の顔がちらつき、簡単に譲歩する訳にはいきません。

とはいえ、理解は示しながらも押し返すという高等テクニックは私にはないのです。ただ、ひたすら直球一本勝負。それが通じる相手ならともかく、理論派の社長は一枚も二枚も上手でした。私を言いくるめるくらい赤子の手を捻るようなものでしょう。

あぁ、なんて理不尽なのでしょうか。こんな時はいつも逃げたい衝動にかられます。塾をサボった息子を怒る資格などありません。本当は誰よりも私が逃げたい、投げたい、やめてしまいたいのです。

そんなことを考えながら辞められるはずもなく、しがリーマンの1日が終わるのでした。

陸王

TBSの日曜劇場でドラマ「陸王」が始まりました。創業100年の老舗足袋メーカーが経営に行き詰まり、新規事業としてマラソンシューズ製作に取りかかる物語。半沢直樹ルーズヴェルトゲーム同様、正義が悪を駆逐する分かりやすいストーリーですが、設定や人物像にリアリティーがあり、ついつい引き込まれてしまいました。

熱血漢の銀行員が社内で正論を訴えた末に左遷されてしまうシーンは、私も同じだと言うつもりはありませんが、身につまされる思いでした。そうやって組織の論理を知り、飼いならされていくのでしょう。あの熱さを20年後も持ち続けていたら大したもんです。

人間、最も充実感を得られるのは、夢を追っている時ではないでしょうか。経営難でも新規事業を成功させるという大きな目標があれば、少々の困難にも耐えられます。逆に後始末や尻拭いほど、モチベーションの上がらない仕事はありません。

甲子園で行われたクライマックスシリーズ阪神-DeNA戦はまさにそんな試合でした。初戦に敗れたDeNAはともかく、阪神ナインからは勝利への執念が感じられませんでした。なぜこんな雨の中で試合をするんだ!と顔に書いてある選手がたくさんいました。

気持ちは分かります。怪我をする危険性もあるし、必死になれと言っても難しいでしょう。「クライマックス」とは名ばかりで、消化試合のような、キビキビしたプレーの少ない試合でした。

夜にスポーツニュースを見ていると、ボクシングの村田良太が面白いことを言っていました。ジャングルジムを1ブロック登るのは同じでも、1段上がっていくほど恐怖心を抱く。大人になると危機回避能力は高まるが、子供はそれを知らないのでどんどん登っていく。

つまり、次の試合ではもっと攻めるということが言いたかったようですが、昨日の阪神はまさしく危機回避能力だけが強く働き、安全第一のプレーばかりでした。

後がないからこそ、日本シリーズという目標にひたむきだったDeNAと、安全運転に終始した阪神。いかに自分のメンタルをコントロールし、モチベーションを保つことが大切か、教えられた気がします。

長~い10分間

入った瞬間、「こんにちは~」と鼻にかかったしゃがれ声で言われた時からムズムズするような感覚はあったんです。理髪店の話です。

若い頃はイキッて美容院に通ったものですが、少しハゲかかってきて髪型などどうでもよくなった最近は、各地でチェーン展開する10分1000円(税抜)の店で手軽に済ませます。大体どの店舗でも同じですが、理容師が3人くらいいて客が順番に散髪してもらうシステム。従って、客がカリスマ美容師を指名するような権利は、この手の理髪店にはありません。

私が行くと3人が散髪中で1人だけ待っている客がいました。私がその人の隣に座ってスマホをいじりながら待っていると、一番入口近くにいた、さっきのしゃがれ声の女性が客と話しているのが聞こえてきました。

耳を澄ませると、客が「襟足をもうちょっと切ってほしい」と注文したところ、「先程お聞きしたら切らないでいいと言われたので、勝手に切って怒られてもいけないので切りませんでした」としゃがれ声で釈明していました。

本当にそうなのかも知れませんが、そんなことをいちいち客に言う必要はないでしょう。「分かりました」と答えて言われた通りに切れば済む話です。

顔を上げて、声の主を見てみると、御年60、もしくはそれ以上の老婆、いや失礼、高齢女性でした。私は3人いる理容師の中で「このオバサンにだけは当たりたくない」と強く思いました。他の理容師は30代くらいの女性とベテランぽい雰囲気の男性でした。

しかし、数分後、私の前で待っていた客が30代女性の理容師に招かれました。「ヤバい」。巡り来る運命を私は予感しました。スマホの画面を見つめながら、内容は頭に入ってきません。しばらく待っていると、やはり悪い予感が的中しました。

「お待たせしました~」

しゃがれ声が私を招きます。「誰も待ってないわい」などと言えるはずもなく、私は自分の運命を呪いながら席に着きます。近くで見ると、顔はシワだらけで生理的な嫌悪感が増しました。

散髪を始めても、どこか頼りないというか、ハサミを入れるスピードが遅く、本当に理容師の資格を持っているのか疑いたくなるほどです。

私はできるだけ鏡の下にあるモニター画面に映されるニュースを見て、老婆と視線が合わないように努めました。一刻も早く、この散髪が終わってほしいと願いながら。

やっと終わりに近付いたと思ったら、「左のモミアゲがまだ太いですねぇ」などと言いながら再び整えだします。「右のモミアゲの方が扱いやすいですか?」と意味不明の質問をされたのですが、意味を問うて無駄なコミュニケーションを取りたくなかったので「そんなことないです」と素っ気なく答えました。

顔中のシワだけでなく、ハサミを握る細い腕には何本もの血管が浮き出ています。私は「この人はなぜ理容師になったんだろう」と、ふと思いました。失礼ながら、どう見ても天職には思えません。

子供も独立したので手に職を付けようと、このトシになって資格を取ったのか、それとも独身で頼れる存在もいないので食べていくために理容師になったのか、はたまた意外にキャリアの長いベテラン理容師なのか…。いや、手つきを見る限り、ベテランではないだろうな。そんなことを考えていると、いつの間にかモミアゲを整え終えたらしく、最後に手鏡で後頭部をチェックして終わりました。

長い長~い10分間。散髪中にこれほどいろんなことを考えたのは初めてです。

「ありがとうございました」

席を立った私をしゃがれ声が追いかけてくるような錯覚に襲われました。背中にまとわりつくしゃがれ声をを振り払うように、私は早歩きで店を出ました。

遊園地

今日は久々に次男を連れて遊園地に行きました。一時はテーマパークに圧されて閉園が相次いだ遊園地も、最近は値段の安さや並ぶ時間の短さが見直されて再び活気を取り戻しているようです。今日もかなりの人で賑わっていました。

ポケモンのイベントをしていたので、次男はテンションアゲアゲで走り出さん勢い。私はとりあえずビールが飲みたかったのですが、次男に手を引っ張られ、ポケモンスタンプラリーに一緒に取り組みました。

最後にジェットコースターに初めて息子と乗ると、途中から号泣。1周した頃には涙で頬を濡らしていました。小3の9歳にはまだ早かったようです。